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複素数基礎

複素形式のフーリエ級数展開とは何か

投稿日:2020年8月3日 更新日:

フーリエ級数展開の式

$$ f(x) \sim \frac{a_0}{2} + \sum_{m=1}^{\infty} a_m \cos{mx} + b_m \sin{mx} $$

を見づらい, 美しくない, と思う方いらっしゃいますでしょうか? (私はこのままでもいいような気もしますが)

そういう方には朗報でございます. もっと綺麗になります.

どうやってもっと綺麗にするのか, という答えが複素形式のフーリエ級数展開です. これを使いますと今まで sin と cos, 2種類必要だった関数が, 複素数の指数関数 1つで表せるようになります.

複素形式のフーリエ級数展開は, 後のフーリエ変換のときにも非常に重要になって参りますので, ここで押さえておきたいと思います.

普通のフーリエ級数展開(復習)

複素形式のフーリエ級数展開をやる前に, 普通のフーリエ級数展開を復習しておきたいと思います.

区間 [$ – \pi $, $ \pi $] で定義された区分的に滑らかな実関数 $ f(x) $ を考えます(以降登場する $ f(x) $ も全て, 区間 [$ – \pi $, $ \pi $] で区分的に滑らかな実関数とします).

この関数をフーリエ級数展開したときの係数は

\begin{eqnarray} a_0 &=& \frac{1}{\pi} \int_{- \pi}^{\pi} f(x) \; dx \\ a_m &=& \frac{1}{\pi} \int_{- \pi}^{\pi} f(x) \cos{mx} \; dx \\ b_m &=& \frac{1}{\pi} \int_{- \pi}^{\pi} f(x) \sin{mx} \; dx \end{eqnarray}

で, フーリエ級数展開は

$$ f(x) \sim \frac{a_0}{2} + \sum_{m=1}^{\infty} a_m \cos{mx} + b_m \sin{mx} $$

と表せます. 詳しくは下の記事を参照下さい.

フーリエ級数展開とは何か? (マクローリン展開とのアナロジーでざっくり解説)

複素形式のフーリエ級数展開

本題の複素形式です. 結論から述べますと,

$$ A_m = \frac{1}{2 \pi} \int_{- \pi}^{\pi} f(x) e^{-imx} dx $$

と置いて, 無限和

$$ \sum_{m= – \infty}^{\infty} A_m e^{imx} $$

を考えると,

$$ \sum_{m= – \infty}^{\infty} A_m e^{imx} = \frac{a_0}{2} + \sum_{m=1}^{\infty} \left( a_m \cos{mx} + b_m \sin{mx} \right) $$

となります. ということで,

$$ f(x) \sim \sum_{m= – \infty}^{\infty} A_m e^{imx} $$

を複素形式のフーリエ級数展開と呼びます.

本当にこうなるの?という疑問にお答えし, 以下で計算してみます.

オイラーの公式

上記をちゃんと計算をするためには, オイラーの公式が必要です. オイラーの公式は三角関数と指数関数を複素数で繋ぐ公式です.

$$ e^{ix} = \cos{x} + i \sin{x} $$

オイラーの公式の詳細は以下の記事をご参照のこと.

複素指数関数の定義を考え、オイラーの公式を導出 (証明)する

計算(証明)

では, オイラーの公式を使って実際に計算してみます.示したいのは,

$$ \sum_{m= – \infty}^{\infty} A_m e^{imx} = \frac{a_0}{2} + \sum_{m=1}^{\infty} \left( a_m \cos{mx} + b_m \sin{mx} \right) $$

です. オイラーの公式より,

\begin{eqnarray} e^{imx} &=& \cos{mx} + i \sin{mx} \\ e^{-imx} &=& \cos{(-mx)} + i \sin{(-mx)} \\ &=& \cos{mx} – i \sin{mx} \end{eqnarray}

よって,

\begin{eqnarray} A_m &=& \frac{1}{2 \pi} \int_{- \pi}^{\pi} f(x) \cdot \left( \cos{mx} -i \sin{mx} \right) \; dx \\ &=& \frac{1}{2 \pi} \left[ \int_{- \pi}^{\pi} f(x) \cos{mx} \; dx – i \int_{- pi}^{\pi} f(x) \sin{mx} \; dx \right] \\ &=& \frac{1}{2 \pi} \left( \pi a_m -i \pi b_m \right) \\ &=& \frac{1}{2} \left( a_m -i b_m \right) \end{eqnarray}

となり,

\begin{eqnarray} A_m e^{imx} &=& \frac{1}{2} \left( a_m – i b_m \right) \; \left( \cos{mx} + i \sin{mx} \right) \\ &=& \frac{1}{2} \left\{ \left( a_m \cos{mx} + b_m \sin{mx} \right) +i \left( a_m \sin{mx} – b_m \cos{mx} \right) \right\} \end{eqnarray}

となります. 同様に,

\begin{eqnarray} A_{-m} e^{i(-m)x} &=& \frac{1}{2} \left( a_m + i b_m \right) \; \left( \cos{mx} -i \sin{mx} \right) \\ &=& \frac{1}{2} \left\{ \left( a_m \cos{mx} + b_m \sin{mx} \right) +i \left( – a_m \sin{mx} + b_m \cos{mx} \right) \right\} \end{eqnarray}

となります. 2つを足すと, 虚部が消えて,

$$ A_m e^{imx} + A_{-m} e^{i(-m)x} = a_m \cos{mx} + b_m \sin{mx} $$

となります. よって,

$$ A_0 \; e^0 + \sum_{m=1}^{\infty} \left( A_m e^{imx} + A_{-m} e^{i(-m)x} \right) = \frac{a_0}{2} + \sum_{m=1}^{\infty} \left( a_m \cos{mx} + b_m \sin{mx} \right) $$

であり, 書き換えると,

$$ \sum_{m= – \infty}^{\infty} A_m e^{imx} = \frac{a_0}{2} + \sum_{m=1}^{\infty} \left( a_m \cos{mx} + b_m \sin{mx} \right) $$

となります. 無事に示せました.

まとめ

積分の中身は複素数ですが, 虚部が消えてちゃんと綺麗になりました.

複素数が関わってくるとオイラーの公式が大活躍します. この辺りの分野を学ぶ上ではどこに行っても目にする公式なので, 覚えていると重宝します.

複素形式のフーリエ級数展開はあくまでフーリエ変換への伏線です. フーリエ変換まで到達したときに, 本当の重要性が理解できるようになるでしょう.

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