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非周期関数と周期2πでない周期関数のフーリエ級数展開

投稿日:2020年8月2日 更新日:

フーリエ級数展開できる関数には条件があります. その条件というのが「周期 \( 2 \pi \) の周期関数であること」でした.

しかし, とある特別な操作によって, この制約を取り払い, 疑似的に「非周期関数」や「周期が \( 2 \pi \)でない周期関数」であってもフーリエ級数展開を実行することができます. この記事ではその特別な操作を紹介していきます.

非周期関数のフーリエ級数展開

区間 \( [0, \pi ] \) で定義された \( f(x) \) という区分的に滑らかな関数を考えていきます. \( f(x) \) は周期関数でも, 非周期関数でも, どちらでも構いません.

この関数は原点から始まり, 正の領域でのみ定義されています. そこで, 負の方にも無理やり定義し, 無理やり周期関数にします. これには2つの方法があります.

偶関数拡張

1つ目の方法は y軸を中心として線対称に関数 \( f(x) \) を拡張することです. 関数を y軸でパタリと折り返し, 負の領域にも転写すれば, 新たに以下のような \( F(x) \) という関数ができます.

\begin{eqnarray} F(x) = \left\{ \begin{array} \; f (x) \; , \;\; &x& &\in& [ \; 0, \; \pi \; ] \\ \; f(-x) \; , \;\; &x& &\in& [ \; -\pi , \; 0 \; ) \end{array} \right. \end{eqnarray}

ここでは, 領域を表すとき, その領域の端を含む場合は \( ] \) で, 含まない場合は \( ) \) で表しています.

このように変形すると \( F(x) \) はめでたく周期関数となり, ついでに今回はたまたま周期 \( 2 \pi \) なので, フーリエ級数展開が実行可能です. また, \( F(x) \) は偶関数ですので, フーリエ級数展開を行ったときに \( \sin \) の係数は消えてなくなり, \( \cos \) のみで表すことができます.

フーリエ級数展開の基本的なことは以下の記事で解説しました.

フーリエ級数展開とは何か? (マクローリン展開とのアナロジーでざっくり解説)

この方法を用いるとあらゆる関数を偶関数の周期関数とすることができるので, この操作を「偶関数拡張」と呼びます. また, 遇関数拡張した関数のフーリエ級数展開を, フーリエ余弦級数と呼びます.

奇関数拡張

偶関数拡張があるならば, もう1つの方法は当然奇関数拡張です. 奇関数拡張は, 原点を中心に点対称に関数を転写し, 新たな \( G(x) \) という関数を作ります.

\begin{eqnarray} G(x) = \left\{ \begin{array} \; f (x) \; , \;\; &x& &\in& [ \; 0, \; \pi \; ] \\ \; – f(-x) \; , \;\; &x& &\in& [ \; -\pi , \; 0 \; ) \end{array} \right. \end{eqnarray}

できた関数 \( G(x) \) は奇関数の周期関数です. フーリエ級数展開を実行すると, \( \sin \) だけになり, このフーリエ級数展開をフーリエ正弦級数と呼びます.

周期が \( 2 \pi \) でない関数のフーリエ級数展開

続きまして, 区間 \( [ -L , L] \) で定義された \( f(x) \) という周期関数について考えていきます. ご覧の通り, \( f(x) \) は一般に周期 \( 2 \pi \) ではなく, そのままではフーリエ級数展開することができません. そこで, 変数変換を実行し, 周期を無理やり \( 2 \pi \) にします.

\begin{eqnarray} x &=& \frac{ L }{ \pi } \xi \; , \\ g( \xi ) &=& f(x) = f \left( \frac{L}{ \pi } \xi \right) \end{eqnarray}

とすると, 関数 \( g( \xi ) \) は, 区間 \( [ – \pi , \pi ] \) で定義された周期 \( 2 \pi \) の周期関数となり, フーリエ級数展開することができます.

\begin{eqnarray} a_0 &=& \frac{1}{ \pi } \int_{- \pi }^{ \pi } g( \xi ) \; d \xi \\ a_m &=& \frac{1}{ \pi } \int_{ – \pi }^{ \pi } g( \xi ) \cos{ m \xi } \; d \xi \\ b_m &=& \frac{1}{ \pi } \int_{ – \pi }^{ \pi } g( \xi ) \sin{ m \xi } \; d \xi \end{eqnarray}

\( \frac{ d \xi }{ d x } = \frac{ \pi }{L} \) を使って, 変数を \( x \) に戻せば,

\begin{eqnarray} a_0 &=& \frac{1}{ L } \int_{- L }^{ L } f( x ) \; d x \\ a_m &=& \frac{1}{ L } \int_{ – L }^{ L } f( x ) \cos{ m \frac{m \pi x }{ L } } \; d x \\ b_m &=& \frac{1}{ L } \int_{ – L }^{ L } f( x ) \sin{ m \frac{ m \pi x }{ L } } \; d x \end{eqnarray}

となります. \( \sin \) と \( \cos \) の中身が通常のフーリエ級数展開の場合と異なりますが, 元の関数を \( \sin \) と \( \cos \) のみからなる関数の形に展開することができました.

まとめ

今回述べた2つの操作と関数の並進操作を使えば, フーリエ級数展開することができる関数の範囲が広がります.

電気信号や音の信号を測定するとき, 基本的に測定の開始時点は「0 s」です. それらをフーリエ級数展開(フーリエ変換)するためには, 今回のように負領域に拡張し, 区間を適切に変更する必要があるわけで, スペクトルアナライザーなどはこうした操作を自動で行ってくれます.

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