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複素数基礎

フーリエ逆変換とフーリエ変換の諸性質

投稿日:2020年8月9日 更新日:

フーリエ変換には色々と便利な特徴がありまして, 知っていると後の計算が大変便利!というより知らないとフーリエ変換を扱えないので, ここでそれらの特徴についてまとめます.

前回の復習 → フーリエ逆変換 → フーリエ変換の諸性質 (公式) という順でやっていきます.

フーリエ変換(復習)

フーリエ変換は指数関数型のフーリエ積分の一部分であり, フーリエ級数展開の「係数」と対応します.

$$ \mathcal{F}[f] \; (\omega) = \int_{- \infty}^{\infty} f( \xi ) \; e^{- i \omega \xi } \; d \xi $$

詳しくは以下記事をご参照下さい.

フーリエ変換とは何か?指数関数型のフーリエ積分とフーリエ変換の定義

上記記事中, フーリエ変換の説明の中では, フーリエ積分との対応を考えたために変数を $ \xi $ としましたが, 積分変数は何でもよく,

$$ \mathcal{F}[f] \; (\omega) = \int_{- \infty}^{\infty} f( x ) \; e^{- i \omega x } \; d x $$

でも同じです.

フーリエ逆変換

フーリエ逆変換は以下の式で定義されます.

 フーリエ逆変換

$$ \mathcal{F}^{-1}[f] \, (x) = \frac{1}{2 \pi} \int_{- \infty}^{\infty} f( \xi ) \, e^{- i x \xi } \, d \xi $$

その名の通り, フーリエ変換の逆の操作で, フーリエ変換した後の関数にフーリエ逆変換を実行すると, 元の関数に戻ります. ちょっとやってみます.

\begin{eqnarray} &\;& \mathcal{F}^{-1} \, [ \, \mathcal{F} [f] \, (\omega) \, ] \, (x) \\ &=& \frac{1}{2 \pi} \int_{- \infty}^{\infty} \left( \int_{- \infty}^{\infty} f( \xi ) e^{-i \omega \xi } d \, \xi \right) e^{ix \omega } \, d \omega \\ &=& \frac{1}{2 \pi} \int_{- \infty}^{\infty} \left( \int_{- \infty}^{\infty} f( \xi ) e^{i \omega ( x- \xi ) } d \, \xi \right) \, d \omega \end{eqnarray}

この式は指数関数型のフーリエ積分そのものなので,

$$\mathcal{F}^{-1} \, [ \, \mathcal{F} [f] \, (\omega) \, ] \, (x) = f(x) $$

であると言えます. フーリエ積分については以下をご参照のこと.

フーリエ変換まであと一歩!フーリエの積分公式

フーリエ変換の前には何も付いてないですが, フーリエ逆変換の前には $ 1/2 \pi $ が付いてます. これはフーリエ変換 → フーリエ逆変換をしたときに元の形に戻るようにするためで, フーリエ変換と逆変換両方の頭に $ 1/ \sqrt{2 \pi } $ を付ける定義の方法もあります.

フーリエ変換の諸性質 (公式)

続いてはフーリエ変換の諸性質につきまして.

フーリエ変換の性質を知っていると後々計算が楽になることがあったりなかったり. 以下ではフーリエ変換についての4つの性質を紹介し, 各性質が確かに成立することを簡単に証明します.

 フーリエ変換の性質

(1) $k$ 階微分した関数のフーリエ変換

$m$ を自然数として, $f \in C^m (\mathbb{R})$ かつ, $ f^{(k)} \in L^1 (\mathbb{R}) \; (k=0, 1, 2, \cdots , m) $ であるとき,

$$ \mathcal{F} [ f^{(k)}] \, (\omega) = \left( i \omega \right)^k \mathcal{F} [f] \, (\omega) $$

(2) フーリエ変換の $ m $ 階微分

$$ \frac{d^m}{d \omega ^m} \left( \mathcal{F} [f] \, (\omega) \right) = \mathcal{F} [ \, (ix)^m f(x) \, ] \, (\omega) $$

(3) $h$ だけ平行移動した関数のフーリエ変換

$h>0$ について,

$$ \mathcal{F} [f (x-h)] \, (\omega) = e^{-ih \omega} \, \mathcal{F} [f(x)] \, (\omega) $$

(4) 変数が $\lambda$ 倍

$\lambda \ne 0$ について,

$$ \mathcal{F} [ \, f ( \lambda x ) \, ] \, (\omega) = \frac{1}{| \lambda |} \mathcal{F} [ \, f(x) \, ] \, \left( \frac{\omega}{\lambda} \right) $$

補足しておきますと,

・$ f \in C^m (\mathbb{R})$ :$f$ が実空間で $m$ 階微分可能

・$ f \in L^1 (\mathbb{R})$ :$\int_{- \infty}^{\infty} f(x) dx $ が有限値を取る

をそれぞれ意味しています.

証明

では簡単に証明を. と言っても (2), (3), (4) は代入して計算すれば上記の通りであると分かります. 読み飛ばして頂いて問題ないです. 備忘録として使ってください.

(1) の証明

$ f(x) $ は

$$ f(x) = \int_{0}^{x} f'(t) dt + f(0) $$

と表すことができ, $ f’ (t) \in L^1 (\mathbb{R}) $ より,

$$ \lim_{x \to \infty} \int_{0}^{x} f’ (t) dt $$

が存在する. よって, $ \lim_{ \; x \to \infty} f(x) $ も存在する. ここで, もし

$$ \lim_{x \to \infty} f(x) \ne 0 $$

ならば,

$$ \int_{0}^{\infty} f(x) dx = \infty $$

となり, $ f \in L^1 (\mathbb{R}) $ と矛盾する.したがって,

$$ \lim_{x \to \infty} f(x) = 0 $$

となる. $ x \rightarrow – \infty $ の場合も同様である.

次に,

\begin{eqnarray} \mathcal{F} [f] \, (\omega) &=& \int_{- \infty}^{\infty} e^{-ix \omega} f(x) dx \\ &=& \frac{1}{-i \omega} \int_{- \infty}^{\infty} \left( e^{-ix \omega} \right)’ f(x) dx \end{eqnarray}

と変形する. 上記の通り, $ f(x) \rightarrow 0 \; (x \rightarrow \pm \infty) $ なので, 変形した式について部分積分を行うと,

\begin{eqnarray} \mathcal{F} [f] \, (\omega) &=& \frac{1}{- i \omega} \left\{ \left[ e^{-ix \omega} f(x) \right]_{- \infty}^{\infty} – \int_{- \infty}^{\infty} e^{-ix \omega} f’ (x) dx \right\} \\ &=& \frac{1}{i \omega} \int_{- \infty}^{\infty} e^{-ix \omega} f’ (x) dx \\ &=& \frac{1}{i \omega} \mathcal{F} [f’] \, (\omega) \end{eqnarray}

これを繰り返すと,

\begin{eqnarray} \mathcal{F} [f^{(k)}] \, (\omega) = \left( i \omega \right)^k \mathcal{F} [f] \, (\omega) \;\; (k=0, 1 , 2, \cdots , m) \end{eqnarray}

も分かる.

(2) の証明

$ xf(x) \in L^1 \, (\mathbb{R}) $ であるとき,

$$ \mathcal{F} [f] \, (\omega) = \int_{- \infty}^{\infty} e^{-ix \omega} f(x) dx $$

について, $ \omega $ で微分した後, $ x $ で積分可能であるので,

$$ \frac{d}{d \omega} \mathcal{F} \, [f] \, (\omega) = \int_{- \infty}^{\infty} ix e^{-ix \omega} f(x) dx $$

となる. さらに, 自然数 $ m $ について, $ x^m f(x) \in L^1 \, (\mathbb{R}) $ であれば, $ \omega $ で $ m $ 階微分した後に $ x $ で積分可能なので,

$$ \frac{d^m}{d \omega ^m} \left( \mathcal{F} [f] \, (\omega) \right) = \mathcal{F} [ \, (ix)^m f(x) \, ] \, (\omega) $$

(3) の証明

$ y= x-h $ と置けば,

\begin{eqnarray} &\;& \int_{- \infty}^{\infty} e^{-i x \omega } f(x-h) dx \\ &=& \int_{- \infty}^{\infty} e^{-i (y+h) \omega } f(y) dy \\ &=& e^{-i h \omega} \mathcal{F} [f] \, (\omega) \end{eqnarray}

(4) の証明

$ X= \lambda x $ と置けば, $\lambda$ の符号に依らず,

\begin{eqnarray} \mathcal{F} [f(\lambda x)] \, (\omega) = \frac{1}{| \lambda |} \int_{ – \infty}^{\infty} f(X) e^{-iX \omega / \lambda} dX \end{eqnarray}

まとめ

フーリエ逆変換とフーリエ変換の諸性質については理解できたでしょうか?フーリエ変換の中身を手計算することは稀ですが, フーリエ変換についての理解を深めるためにも手計算してみることは重要です.

公式を忘れたときには是非このページを活用してくださいませ.

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