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複素数基礎

複素平面と複素数の基本性質 ~複素平面による複素数の可視化~

投稿日:2020年5月8日 更新日:

複素数の使い方を忘れてしまったすべての大人達に贈る「複素数の基本性質」です. 複素数初学者も大歓迎. ここでは複素平面, 複素共役と絶対値について話していきます.

複素平面

複素平面とは, 複素数の実部を横軸, 虚部を縦軸に取り, 平面座標上に複素数を記述する幾何表現です.

こういうのは図で見るのが一番分かりやすいです. 下図をご覧ください.

図1. 3+4$ i $ の複素平面表示

3+4$ i $という複素数は複素平面上で上図のように表されます. 3+4$ i $ の実部は 3, 虚部は 4 です. この (3, 4) という組み合わせをxy座標上の点 $ (x, y) $=(3, 4) と対応させます.

複素平面, という呼び方とは別に, 複素数平面, ガウス平面という呼び方もあります. 全部同じ意味です.

軸にも名前が付けられています. 横軸は「実軸」, 縦軸は「虚軸」です. 実軸上の点は虚部がゼロになっているため, すべて実数となり, 虚軸上の点は実部がゼロになっているため, すべて純虚数になります.

図2. 実軸上の点は実数, 虚軸上の点は純虚数

複素平面を考えることで, 以後の複素数に関する諸々を格段に考えやすくなりますし, 複素数や実数, 純虚数との関係が分かりやすくなります. そして1次元だった数の世界が2次元の平面になりました.

平面になったということは, 順に考えていけば, 次は3次元の空間になりそうです. ざっくり言えばそれが「四元数」という概念です. 難しいのでここでは考えません.

複素共役

$ z=a+bi $ ( $ a, b $ は実数)という複素数を考えまして, この $ z $ に複素数を掛けて実数を作ろうと思います.

思い出して頂きたいのは「分母の有理化」ですね. 中学3年で習います.
$ \left( a+ b^{1/2} \right)^{-1} $ ( $ a $ は有理数 $, b $ は正の有理数) の分母を有理化するためにはどうすれば良いでしょうか.

最も簡単な方法は $ (a+b)(a-b) = a^2 -b^2 $ の公式を使うことです. 有理数の方か, 有理数じゃない方, どちらかの符号を反転させた数を分母に掛ければ分母を有理化することができます.

$$ \left( a+ b^{1/2} \right)^{-1} \times \left( a- b^{1/2} \right)^{-1} = \left( a^2 – b \right)^{-1} $$

複素数でも同様です. $ (a+b)(a-b) = a^2 -b^2 $ の公式を活用し, $ \overline{z} =a-bi $ という数を $ z $に掛けると, 目出度く虚数単位を消去することができます.

\begin{eqnarray} z \times \overline{z} &=& (a+bi)(a-bi) \ &=& a^2 -b^2 \times i^2\ &=& a^2 +b^2 \end{eqnarray}

ここで出てきた $ \overline{z} =a-bi $ を複素数 $ z $ の複素共役と呼びます. 虚部の符号を反転されたもので, 読み方は「ふくそきょうやく」です.

複素数の絶対値

複素数には, 実数に当然あるべきものがありません.

それは「大きさ」です. 複素数では数の大小を議論することができません.

ただし, 実数の絶対値という概念を拡張し, 複素数に適用することは可能で, 複素数 $ z=a+bi $ の絶対値は以下のように定義されます.

$$ |z| = \sqrt{a^2 + b^2}$$

複素数の大小を比較することはできませんが, 複素数の絶対値ならば大小を比較することができます. 複素数の絶対値は複素平面上での原点からの距離に対応します.

また, $ a^2 +b^2 $ は $ z \cdot \overline{z} $ でもあるので, 複素数の絶対値を以下のように表すこともできます.

$$ |z| = \sqrt{z \cdot \overline{z}}$$

絶対値は複素数を扱ううえで, よく出てきます. これ無しに複素数の議論することはできません.

まとめ

複素平面は複素数を分かりやすく可視化してくれますが, それだけが目的ではありません.

点の回転を扱う上で大変便利で, 結晶構造解析や3DCGに用いられます.

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